「相続」を「争族」にしないために、遺言書の準備をおすすめします

”財産が少ないから、ウチには遺言なんて必要ない”と、お考えではありませんか?
ウチの財産は、住んでいる家と預貯金が少し・・・そういう一般的なご家庭こそ「相続」が「争族」になってしまうことが多いのです。

なぜ遺言書が必要なのか?

法律では、相続が発生した場合、亡くなった人の財産をどのように承継するかについて、相続人や相続割合を決めています。
しかし、法律で決められたとおりに分配することが常に適当で公平とは限りません。
公平でない場合に備えて、民法は、亡くなった方の意思を尊重して、法定相続分より遺言が優先されるとしています。

例えば・・・

いつも面倒を見てくれる長男にとって、他の兄弟姉妹と同じ相続分では不公平と感じるかもしれません。あるいは、そういう長男に多く財産を残してやりたいと思う場合もあります。

お住まいの家が相続の対象となる場合、相続人で分割するために売却することになりかねません。

遺言書がないために、相続人間での話し合いがまとまらず、遺産の分割が円滑に行えなければ、凍結された銀行口座の解除に手間や時間がかかる場合があります

つまり、遺言書を作成するメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

”争族”から遺された家族を守ることができる

相続手続きの際の負担が減る

遺された家族に自分の思いを届けることができる

将来的に相続税の控除が受けられる可能性がある

など

「遺言書」と「遺書」の違い

「遺言書」と似たものに「遺書」があります。
言葉は似ていますが、法律的には全く違うものです。

「遺書」とは

一般的には近い将来亡くなることを前提に自分の思いや考えを自由に書くことが多いものです。
例えば自殺をしようとしている人や余命宣告を受けた人などが周りの人にあてて気持ちを手紙にのこすような場合です。
書く内容は自由ですが、「遺言書」としての要件を満たしていない限り、書いてあることに法的な義務はありません。

「遺言書」とは

法律に定められている要式に従って作成される法的効力のある文書をいいます。
逆にいえば、きちんとした形で作らなければ法的な効力はないものとなってしまいます。
遺言書は、遺言できる人、遺言によって法的な効力を有する内容、書式など、一定の要件を満たす必要があります。

遺言書の作成を特におすすめするケース

遺言書.jpg
  • 子どもがいない、または子どもの数が多い
  • 身寄りがいない
  • 相続人の仲が悪い
  • 病気や障害のある相続人がいる
  • 子どもを認知したい
  • 再婚したが先妻との間に子どもがいる
  • 内縁の配偶者や世話になった人など、法定相続人以外に財産をのこしたい
  • 配偶者に連れ子がいるが、養子縁組していない
  • 会社を経営して株式を持っている
  • 遺産の分け方を具体的に指定したい

など

遺言の種類と特徴

遺言には、事故等の緊急時に行う特別方式の遺言とそれ以外の普通方式の遺言があります。

普通方式の遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

自筆証書遺言

その名のとおり、全文のほか日付や署名も含めすべてを遺言者本人が書かなければなりません。

字が下手だから、手が不自由だから、などの理由があっても他人が代筆するとその遺言書は無効になってしまいます。

また、相続手続きの際、遺言書は家庭裁判所での検認が必要となります。

尚、2020年7月10日より、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が開始されました。

公正証書遺言

遺言者の話を聞いて、2人の証人の立会いのもと公証役場で作成する遺言書です。

民法の定めに従って作成するので、要件不備で遺言が無効になる恐れはなくなります。

原本は公証役場で保管されます。保管期間は遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間となっています。

秘密証書遺言

秘密証書遺言

遺言の内容を誰にも知られたくないという場合に作成しますが、実際にはほとんど使われていないのが現状です。遺言書の存在だけを公証人に証明してもらいます。

相続手続きの際、遺言書は家庭裁判所での検認が必要となります。

秘密証書遺言 自筆証書遺言 公正証書遺言
メリット
  • 遺言の内容を秘密にできる
  • 遺言の内容を秘密にできる
  • 証人が不要
  • 費用がかからない
  • 法務局での保管が可能
  • 遺言が無効になる心配がない
  • 相続発生時に裁判所での検認が不要
  • 遺言書の保管が確実
  • 遺言書の再発行が可能
デメリット
  • 相続発生時に裁判所での検認が必要
  • 検認で要件不備となる恐れがある
  • 遺言書が発見されない恐れがある
  • 費用がかかる
  • 証人が二人以上必要
  • 相続発生時に裁判所での検認が必要
  • 検認で要件不備となる恐れがある
  • 遺言書が発見されない恐れがある
  • 自筆が困難な人には適用できない
  • 遺言の内容が公証人や証人に知られる
  • 証人が二人以上必要
  • 費用がかかる

遺留分とは

遺留分とは、法律の定めによって相続人が相続できる最低限の割合をいいます。

例えば、亡くなった方が遺言書で、自分の全ての財産を愛人に渡すことを記していた場合、残された家族の生活が不安定なものになってしまいます。民法ではそのような不平等な相続を調整する制度として遺留分を定めています。遺留分の割合は、原則として2分 の1、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言書を作成する際には、後に相続人間で揉めないよう遺留分に配慮した内容にすることが大切です。

遺言書を発見したら

”亡くなった父の部屋の金庫から遺言書がみつかった”そんな時はその場で開封してはいけません。

公正証書遺言以外の場合、裁判所で「検認」という手続きをしなければなりません。その遺言書が本当に亡くなった人が書いたものか、遺言書の偽造、変造防止のために行います。

遺言書を見つけたら速やかに裁判所に検認手続きの請求をしましょう。

遺言の執行

せっかく遺言書を作ってもその内容が実現されなければ意味がありません。

遺言書の中に遺言執行者を指定しておくことで亡くなったあとの手続きがスムーズに行えます。

遺言執行者は、遺言者が亡くなったあと、以下のような手続きを速やかに行わなければなりません。

①相続人を確定させる

②相続人や遺贈のあった人に遺言書の存在と自分が遺言執行人であることを知らせる。

③相続財産を調査し、財産目録を作る。

④遺言書の内容に従って財産を分配する手続きを行う。

そのほか遺言書の内容によって以下のような手続きを行います。

  • 相続財産の不法占拠者への明け渡しや移転の請求
  • 遺贈の手続き
  • 認知の手続き
  • 相続人の廃除の手続き

サービス料金(費用)

※初回相談無料

内容 料金
自筆証書遺言サポート 33,000円~
公正証書遺言サポート 55,000円~
証人 10,000円/一人
遺言執行 相続財産の0.8%~(最低料金有)

 ※公正証書には別途公証人手数料が発生します。

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